2007年04月18日

『レッド・ドラゴン』



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つくづくThomas Harrisという人はサイコを書くのが恐しく上手で感心する。本作も強力なサイコが登場だ。

2つの家族が惨殺された――どちらも満月の夜に。「噛みつき魔」と俗称される犯人を追い、元FBIアカデミー教官のグレアムは並み外れたプロファイリングの能力で事件の真相に迫る。どちらの家族にも共通するのは裕福というくらい。しかし、その殺され方には奇妙な共通点が。

異なる視点を得るために、グレアムが尋ねるのは彼がその昔重傷を負いながらも逮捕した(かの有名な)ハンニバル・レクター博士。レクターは「わたしたちが瓜二つだからさ」と彼にささやくのであった。真の愛情を一度も得ることなく育ってきた「噛みつき魔」がふとしたきっかけで与えられた愛情の先にあるのは所詮は破滅なのか。

81年に出版された本書がレクター博士の初登場だそうだ(大ヒットの『羊たちの沈黙』が88年)。このときからすでに主人公を(文字どおり)食いかねないレクター博士というキャラクタは確立されていて、本書でも「子供のように無邪気に悪賢く」グレアムを窮地に陥れている。ちなみにクラリスは出てこないので念のため。