2006年09月25日

『My Job Went To India 〜オフショア時代のソフトウェア開発者サバイバルガイド』



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大きな期待を背負いながら、ようやく出版の運びとなった1冊。でびあんぐる監訳、翻訳レビューアには武井さん中野さんを迎え、「読み物としておもしろい」を目指して制作が進められてきた(印刷向けの最終SVNリビジョンは691にも上る)。

“My Job Went To India”(僕の仕事はインドに行っちゃった)という煽動的なタイトル、「Will Code For Food」を掲げた物乞いと鮮烈な赤の背景が印象的な表紙の本書は、現在のオフショア時代において、どのようにそのあおりを受ける者が生き残っていくかを説いたものだ。

本書は米国在住のChad Fowlerがインドのオフショアソフトウェア開発センター滞在で経験したことを基に、米国人IT技術者向けにインドのオフショア脅威への協調の手段と問題への対策を描いているが、日本ならさしづめ対中国ということになろうか。近年はインドもオフショア先候補となってきてはいるが、日本語トレーニングを積んだ(安い労働力の)現地人スタッフというと、やはり中国が置き換え先としてしっくりくるだろう。

安い労働力を求めるオフショアの勢いが歩みを止めることはないだろう。そして、オフショアの向こうには、ちょっと日本語(英語)の話し方が奇妙かもしれないけれども、それ以外の言葉も操れて、より良い生活のためには貪欲で、もしかしたらあなたの給与よりも安い額であなたの今の「実は誰にでもできる」仕事を担当するようになってしまうかもしれない労働者がいるという寸法だ。

本書の短い軽妙な語り口の52のエピソードには、IT技術者――に限らず、労働する者全員(どの職業もオフショアの影響を受けない保証はない)――に宛てた、生き残りのためのメッセージが詰め込まれている。オフショア先とのコミュニケーション問題に苦しんでいる人、来たるべきオフショア業務に不安を感じている人、今は安全だと現状に甘んじていては駄目なのではないかと思っている人、自分がその業界で1番だと思っている人、自分が余剰人員になるなんて想像したこともない人、誰にとっても本書の内容には考えさせられるものがあるはずだ。

翻訳・編集・DTPを行う下請け制作プロダクションに籍を置く身、そして実際に大連での日本語学習熱を感じて、本書の内容は身につまされることが非常に多いものであった。ねぇ、頭を使わないような翻訳・編集・DTPをしていると、中国かインドに僕らの仕事は行っちゃうよ。