2007年04月26日

『ハゲタカ』『ハゲタカ2』(旧名バイアウト)



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NHKで放映された硬派経済ドラマの原作。ドラマのほうはこの2冊からキャラクタとネタの一部を借りただけでかなり違う話なので、ドラマから興味を持って読むというパターンの人が多そうだ。

バブル崩壊後で瀕死に呈しながらもこれまでのつかの間の栄華を捨てきれない日本の“サラリーマン”と経営者たち。上場されている会社はすべて買収できるとうそぶく投資ファンド・ホライゾンキャピタルの鷲津は、しがらみにとらわれなず、侮蔑と畏怖を込めて「ハゲタカ!」と糾弾されながら次々と買収と徹底した再生を図っていく。対するは三葉銀行社員から再生請負人へと変わっていく柴野。そして、妖怪のようにしぶとく生き残る三葉銀行(後のUTB銀行)の飯島。この3人を軸に話は進む。

『ハゲタカ』では名門老舗ホテルの日光ミカドホテルが、『ハゲタカ2』では歴史ある紡績・化粧品の鈴紡と日本を代表する総合電機メーカ曙電機が、それぞれ中心舞台となる。菓子事業は順調だがオーナーのエゴと私物化で危機に瀕する太陽製菓、曙電機のテレビ事業がほしい優良企業シャインと、ほかにもどこかで似た名前を聞いたような会社がいくつも登場し、リアリティを高めている(ただこのネーミングセンスがどうにもイケてないというかオヤジ臭いところはどうにかしてほしいのだが…)。

専門的な経済知識がなくても、少しばかり興味があるという程度でけっこう楽しんで読むことができた。このあたりは一般人に伝えなければならない新聞記者出身の作者ならではという面目躍如だろう。ディティールに粗を探せばいくらでも突っ込むところはあるだろうし、いくつかの書評でもそういったところへの指摘はあるようだ。

エンターテイメントとして読んでいるし、経済はほとんど素人なのでそういったディティールは気にならなかったのだが、ストーリー部分のツメはやや甘め。特に『ハゲタカ2』では風呂敷広げすぎて後で疊めなくなったのか色気を出したのか、なかなかトホホな終わり方でずっこけた。『ハゲタカ』が序盤トホホ後半熱気とすると、『ハゲタカ2』は序盤熱気後半トホホ。なかなかバランスが難しい。あと、アメリカ人の描き方や濡れ場(というか、これ必要なの?ダブロイド紙の小説じゃあるまいし…)が、落合信彦の小説を幾分マシにしました風味(落合のルポタージュはエンターテイメントとして嫌いじゃないんだけど、小説はまったくダメ)なので、これは勘弁してほしい。

とはいえ、10万100万の出費をするかどうかでくよくよ悩んでいるのとは別の次元で、100億1兆を動かす世界を垣間見るのは面白い。金持ち・政治家・経営者は悪というのが日本で綿々と続く根元的思想(教育?)だと思うけど、金を動かす世界も大変で命がけなのだ。と同時に、たとえそういう立場になくても、企業に属する限り、誰も資本経済から逃れることはできず、漫然と過ごしていた日々からあるとき突然奈落に落とされるかもしれない。

そうそう、全編を通して一番「怖い」と思ったのは、療養の末にようやく立ち直って家族と過ごす幸福を感じ始めた、柴野の妻に送られたあるモノ……(コエー、マジコエー!) ネタバレになるので、買って読んでね(笑)。まとまりがなくなったのでこの辺で。

ドラマはDVDボックスが出るようだ。脚本はこちらのほうが良くできていると思う。



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