2010年08月31日

Rubykaigi 2010に参加してきた

たくさん考え、たくさん笑い、最後はちょっとしんみりしながら(あの場面で見送るスタッフたちは反則)、初参加のRubykaigi 2010が終了。

各講演の映像はRubykaigiスタッフのご尽力で素早く公開済みで、優れた報告・記事・日記も多数出稿されているようなので、中身についてはそちらをご参照。

感謝。公私両面でRuby関係者には、翻訳・執筆・監修・レビューア・そしてもちろんプログラミング言語やライブラリ、とお世話になっているので、上司にかけあって株式会社トップスタジオがゴールドスポンサーのうちの1社に。苦労しながら持ってきたパンフは内容が来場者とミスマッチなのでほとんど掃けなかったけど、それでもお持ちになられた方々には深く御礼。

『My Job Went to India』『情熱プログラマー』著者のChad Fowlerさんと『情熱プログラマー』合同サイン会。直前にちょっとしか話せなくて残念(akrさんの「Unix修正主義」講演がおもしろくて見ていたらギリギリになってしまった)。『情熱プログラマー』サイン会は多数の方々にお越しいただいて感激。またこういう良い本を作りたいなと強く思う。

Conflicts & Resolutions。

内省。素晴しいスピーカーはたくさんいらっしゃったけれども、印象深いのはやはり角谷さん。出力トラブルで一向に始められなくてアワアワしている間も皆が笑顔で見守っている、というのは角谷さんキャラならでは。講演内容は映像をご覧いただくとして、ビート感にあふれるトークと座禅を組んでいるかのような張り詰めた静寂という動静のコントラストが、聴衆に情熱と哲学、鼓舞と熟考を与える。角谷さんとビジョンを共有しているという感覚(角谷さんが悪徳霊媒師とかじゃなくて本当に良かった!)。あまり書くと卜部さんの言われるとおりになってしまうのでこのくらいで。

出会い。Matzさんや修吾さん、かずひこさん、今井さんといった旧交のある方々だけでなく、nari3さん、hsbtさん、たださん、レオさん、松田さん、高井さん、もろさん、Rockyさん、……ごめん、名前を挙げきれないたくさんの人々とお会いして短いながらもお話。誰もが素敵な個性と情熱を持ち、最近ちょっとテンション低めだった私に大きな大きな元気玉。

分解と再構築。今回のRubykaigiに参加してみて、1998年〜2000年頃のLinuxコミュニティで見られたパッション、若手とベテランのほど良い混合、という既視感を今のRubyのコミュニティに感じる。残念ながら、そういったLinuxコミュニティのほとんどは世代の新陳代謝の失敗や、目的の不明瞭化、つまらない内紛といった形でもう残っていない。

Rubyコミュニティがそういう残念な結末を迎えなければよいが、と秘かに憂いていたら、クロージングにおいて高橋さんから、現状の体制のRubykaigiを来年で一旦終えてみる——皆が何をできるかを考えてみる機会を作る、という宣言。継続して喝采を受けてきたことを終わりにするというのは(仮に煽りだとしてもそれが公式発表であるという面で)非常な勇気のいる決断だったと思う。Linux World/ExpoやLinux Conferenceとは背景やしがらみも異なるので同一視はできないだろうが、継続せんがための継続に縛られて誰かが燃え尽きていったり、誰のためであるかがわからなくなったりするのは、「楽しむ」ことがテーゼのLinuxあるいはRubyの世界において本質を見失うこと。

とはいえ、今のRubyコミュニティにはさほど悲観することはないだろう。Rubyは楽しい気分でドライブできるプログラミング言語であり、(柴田さんの述べたように)開発とユーザの世界的なコミュニティのつながりを支援するツールとしてGitHubが存在し、開発者の多数が日本語を解するから「英語が苦手で…」などとつまらないエクスキューズをする必要もない。新たな形での日本RubyKaigi Next Generationをやろうという人もきっと出てくる(それは自分かもしれないし、あなたかもしれない)。

一番のへたくそ。正直に言えば、Rubyの深層を味わい批評する方々の会話を拝見するにつけ新米Rubyユーザとしてはアウェイ感を覚えないことはないんだけれども、それはきっと今が「一番のへたくそでいろ」(『情熱プログラマー』)ということなんだろう。グループで自分が一番のへたくそだ、という感覚は、成長の糧。一番のへたくそからメンターへの成長を目指し、また別の分野でへたくそとして活動。Rubyには「一番のへたくそ」を温かく歓迎する雰囲気があると信じている。

気付き。国内外の方々を迎えるための趣向。ホワイトボード、付箋、フリードリンク、IRC経由の通訳。モニタ上に次々と打ち出されるIRCとTwitterのストリームタイムラインは、井上さんの所属する会社New Bambooが作ったPusherによるもの、すごい。非日本語圏の人々は日本語で主な開発話が進んでいくことにとまどいを感じ、私たちはほかのFLOSSプロダクトでは逆の立場。興味深い。レオさんの「新しい言語を1つ覚えれば視野が倍に広がる。なぜそれを覚えたいかや文化に興味を持たない限りは、習得に苦労する」(自然言語についての発言だけれども、人工言語にも適用可能)。

ヒット。宿は前泊後泊込みで会場隣のオークラエポカル。ネットワークがwiredなのはちょっと不便だったけど、静かでセミダブルのベッドは寝やすかったし、それほど値段高くなかったし、何よりちょっと荷物を置きにいったり身づくろいをしたりが簡単なのが最高だった。食事等については初日の夜に探すのに途方に暮れて「つくばってマジ怖い!」と思っていたものの、実は隣のDAYSTOWNで22:00までは開いていたらしいのでちゃんとiPhoneで探せばよいだけだった(ただ、SBの電波は会場に限らず周辺地域でかなり入りにくかった)。日曜日の夜はちょうどつくば夏祭りが開催されていたので、屋台も堪能(都心ではあまり見かけないヤンキーさんやテキヤさんもいっぱい…)。

決意。来年のRubykaigiもスポンサー(は景気次第だけど(笑))および行動的参加者となろう。高橋さんと一緒にReVIEWの開発とドキュメント化もがんばる。『Rubyレシピブック第3版』の編集組版もがんばった(著者はもっとがんばったけど)のでぜひ見てね。Happy Hacking.